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映画 傷物語 III 冷血編

1月
吸血鬼になって超人的な能力を持った男子高校生と女吸血鬼のバトル。独特の思わせぶりでスタイリッシュな映像やモノローグがかなり長いが、それに浸るのを良しとすれば楽しい。最後のバトルはコミカルかつグロいが、かなり凝った作画だと思った。

化物語シリーズは単行本が2006年、2009年にアニメ化した。いま30代くらいがメインの視聴者なのだろうか。

現代的な味付けをした伝奇的設定と、少年漫画的バトル、ハーレム的なエロス、成長物、という要素がある。伝奇的な部分は作者独創だろうし、あまり深いものは感じられない。その無歴史性が良いのかもしれない。本格的な伝奇や、民俗学的な設定は、特定の地域や歴史を指定する。若い人は、時代や場所が特定されると、自分とは関係ないと感じてしまう、と以前何かで読んだ。抽象化された伝奇。伝奇的なサブカルチャーの二次創作とも言える。

90年代後半のエヴァンゲリオンキリスト教ユダヤ教カバラグノーシス思想などをミックスして深読みを誘発させたのに対して、化物語は初めから伝奇物のパロディ、ただの駄洒落、言葉遊びに過ぎないと宣言する。忍=ハートアンダーブレード、といった具合だ。その日本語の表記や言葉遊びに妙に依存する風呂敷の広げ方に困惑もある。

話を映画に戻すと、ラストバトルの果てに、主人公が赤ん坊のように素っ裸になって戦うところは何か感動するものがあった。日本の少年漫画の系譜で、自分の体を痛めつける事が勝利に繋がるというマゾヒスティックな展開には、危うさもあるが、独特の熱いものがある。一種のイニシエーションなのだろうか。

声優がうまいなとも思った。