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映画『ヨーヨー・マと旅するシルクロード』

チェリストヨーヨー・マ率いるシルクロード・アンサンブルのメンバーの来歴と直面している各出身地の問題を追ったドキュメンタリー。

 

ヨーヨー・マは7歳のときにレナード・バーンスタインと共演するという神童だったが、それが今でも世界の第一線で、かつ新しいことにチャレンジしていることは素直にすごい。

 

また、演奏シーンでの、ヨーヨー・マの感情移入っぷり、全身で音楽を表現する人の、大袈裟ではあるけれども無駄が無い姿に驚いた。

 

冒頭の、90枚というこれまで出したアルバムの数なんかどうでもいい、という苛立ち。また、「自分の声が無い」という指摘への悩み。

 

エキゾチックなもの、何かこれまでと違うクリエイティブなもの、それを探求する時のヨーヨー・マの「これはどう弾いているんだ?」と取り憑かれたように楽器をいじるところが、彼の本質的なところなんだろうと思った。

 

この映画では、ヨーヨー・マ以外のメンバー達は革新的な面を持ち若い頃苦労しつつ、今では出身地の伝統を守ろうとする方向に向かっているという描かれ方をしている。

 

そこに違和感も持った。ヨーヨー・マの天才過ぎてコアを持たない空虚さ、各地のミュージシャンがコラボする一瞬だけに自分の存在を見つけようとする賭けと、「伝統が大切」という映画が無理やり良い話の感じで結論をつけてまとめようとする脚色に齟齬があるように思う。政治的には正しいのかもしれないが。

 

メンバーによる晩飯のシーンで、シャンパングラスで演奏するシーンなど、世界の一流ミュージシャンの集まりという感じでとても優雅だった。映画全体的には悲劇や苦労という側面ばかりが強調されていたが、そういう選ばれた芸術家のスノッブな楽しみという側面ももっと観たかった。

 

 

 

 

 

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