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映画「メットガラ」2016

ニューヨーク、メトロポリタン美術館でのファッションイベントと、その企画者であるボーグアメリカ版編集長アナ・ウィンターを追ったドキュメンタリー。

 http://metgala-movie.com/

 

仕事の仕方について学ぶ事があった。

 

  1. 議論中国をテーマにした展示について、中国の役人から、過去の前近代的な中国だけをなぜ取り上げるのか、現代の近代化された中国も扱わないと中国について正しい理解が広まらないのでは、という指摘が入る。それ自体は最もだと思う。奇抜に走ったファッションも展示された。それに対して、美術館の部長さんやファッション雑誌の凄腕編集長は、これは芸術であって、想像力を刺激するファンタジーが必要なのだ、また中国人デザイナーもいると返す。また、別のお偉いさんとの会食の場でも同じ質問をされた時に、ウォン・カーウェイは新しいものを作るには過去を見なくては、という創作論を展開する。実際に映画を作って来た世界的な映画監督だからこそ意味のある意見だが、こういうのも映画監督の仕事なんだなと思った。そのまま議論するとオリエンタリズムについて絶対平行線に終わるだろう点について、芸術という一段上?の特定の団体の損得を超えた概念を持ち出す事で、そんな事で足を引っ張るな、と議論を棚上げしてしまう。これに反論するには、芸術といっても古今東西でいろいろ有るし政治と切り離せないというような芸術論のステージで戦わなくてはいけない。私には縁のない上のレイヤーでの交渉だが、こういう抽象的な土俵で戦う世界があるのか、すげえなあと思った。
  2. ウォン・カーウェイの仕事ぶり。映画監督のウォン・カーウェイが関わっている。だが、オープニングの1週間前になっても設営が進んでいない。現場の担当に「なぜ進んでいないんだ?」と聞くと、マネキンの向きを確認しないと…のような事で止まっている様子。映像の編集もあると思うが、ウォン・カーウァイは自ら美術館の部長に会いにいって、立ち話でマネキンを貸してくれ、と話を付けてくる。フットワーク軽いし、あのウォン・カーウェイがこんな現場のマネキン手配までするのか、と驚いた。思うに、映画製作の現場はそういう機転や自ら動く事が求められるんだろう。

  

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